
2019/12/11
STYLE-95
ビッグシルエットのコートを大人が楽しむには
見過ごしがちだが、コートにもトレンドは存在する。値が張る重衣料だけに、コロコロと買い換えるわけにもいかないし、そもそも選びの目線が「10年着られる定番」のようなものに向きがち。そのため我々はコートに対して「時代性を加味する」ことに少し無頓着なのかもしれない。
ところが、今年は少し様相が違う。シルエットのゆったりしたコートがまさに全盛期。花盛りである。数シーズン前からモードブランドが軒並み90年代的なストリートスタイルを志向する中で、ビッグシルエットがジワリと市民権を獲得。ついにこの冬、リアルクローズにおいても大ブレイクを果たしたと見ていいだろう。
となれば、気になるところだが、大人としての対応はいかに。少々子供っぽく映るのでは、という懸念もあるが、それを解消して、大人のビッグシルエットを楽しませてくれるのが、HEVO<イーヴォ>の一枚。ゆったりめといってもルーズではない、ほどよいショルダーラインは、ラグランスリーブの賜物。身幅も広めながらも、イタリアブランドらしいパターニングにより、美しいAラインをキープしている。
だからといって、マジメすぎる作りかといえばさにあらず。フロントはダブルブレストの2ボタン。水平に2つ並ぶ配置が面白い。さらに、大きく仕立てられたラペルもアイキャッチとなっており、デザイン的に遊びを入れながら、ビッグシルエットとのバランスもキープしているのだ。
時代性と大人らしさを両得したコート。コーディネイトに占める面積も少なくないために一枚羽織るだけでも十分に様になり、さほど着こなしを悩ませるものではない。そんななかで代表例に挙げたいのは、モードを賑わせる「ストリート感」を加味したコーディネイト。スポーティなアイテムであるパーカをインしたスタイルだ。
このチョイスを上品にすることで絶妙なバランスが取れる。ここで着用したのは、FILIPPO DE LAURENTIS<フィリッポ デ ローレンティス>のニットパーカ。メランジ調でありながら、ウールにカシミヤを混紡した素材の見た目と肌触りがとってもラグジュアリーに。シンプルな色合いでも大人の雰囲気が醸し出せるのだ。
そして、時代性をさりげなく取り入れているのが、BRIGLIA<ブリリア>のコットンパンツ。テーパードの効いたシルエットでトップスのボリューム感を引き受けながら、裾に向けてすぼまるシャープさを演出してくれる。大人ならではのビッグシルエットの扱いがわかれば、躊躇する必要ななし。今をときめくコートライフは、この1着で楽しんでみよう。
トレンド感以上に着こなしの幅も広がる一枚
ご覧のとおり Aラインのシルエットが美しい<イーヴォ>のコート。これが大人らしく映る理由はもうひとつ。実は、ウエストコードが備わっているのだ。このようにフロントを開けてもリラックス感があるが、ボタンを留めずにコードを緩くまとめれば、ガウンライクにも羽織れる。ウールにナイロンを混紡したメルトン素材は、見た目の存在感より軽やか。着こなしの多様性もある一枚。
スポーティにして上品なパーカを選ぶべし
スポーティながらも上品さが醸せるのが、FILIPPO DE LAURENTIS<フィリッポ デ ローレンティス>のニットパーカだ。ヴァージンウールとカシミヤを混紡した素材がもたらす光沢感は、写真からも伝わるはず。ボトムスとはグレートーンで揃えて、コートのネイビーで引き締めるという算段。
グレーからブラウンを繋ぐトープカラーのテーパードパンツ
ボトムスには、パーカのグレートーンと揃えてトープカラー(グレージュ)としたBRIGLIA<ブリリア>のコットンパンツをオン。細かな毛羽の立つピーチスキンの仕上げで、マットな印象に。ウエストの1プリーツは、トレンドでもあり、シルエットの美しさも強調してくれる。足元は、OFICINE CREATIVE<オフィチーネ クリエイティブ>のプレーントウ。濃度のあるブラウンで足元を引き締めつつ、ストリートな雰囲気にもマッチするボリューム感もちょうどいい。