STYLE-83
FUNCTION x LIGHT MONOTONE
ファンクショナルな服をファッションに定める、モノトーンの意思
ファッションとテクノロジーとの融合が叫ばれて久しい。衣食住の一翼を担うファッションが、日々進化を遂げる科学技術が応用されずしてどうする? という感じで、考えてみれば至極当然のこと。ただし、機能性そのものが、スタイルをファッショナブルにはしてくれない。そこは、意図的な「ファッション志向」が重要となる。これを裏付けるのが、機能性こそ重視されるアウトドア系のブランドたちが、こぞって、今をときめく一流のクリエイティブディレクターを採用して、スタイリッシュな方向性を打ち出していることからも明らかだよね。というわけで、ファンクション万歳と盲目的に両手を挙げるのではなく、明確な意図のもとで、ファンクショナルな服を装いたいと思う次第。
さて、いよいよ季節は三寒四温。一週間単位、否、1日単位でも寒暖差があって着る服に一番悩まされる時季でもある。となるとスプリングコートの出番。着用時の機能性や季節感を重んじたスタイルだけでなく、脱いだ時に楽に手持ちできる軽やかさなんてものも選びのポイントに。今回着目したのが、イタリア発のブランド、DUNO<デュノ>のフーデッドコートだ。
撥水加工が施されたポリエステル×コットンの素材感は、いわゆるシャカシャカ系で、スポーティな印象。一方、コットンが混紡されることによる風合いも独特だ。また、イタリアのブランドらしいパターンの美しさや、袖のジップや後部の裾などにミリタリーテイストもまぶされており、都会的な仕上がりでもある。おまけにライトトープともいうべきニュアンスカラーは大人が嗜むべき絶妙なものだ。
このスポーティかつ都会的なコートを生かすのは、モノトーン配色。メリハリを利かせたCIRCOLO1901<チルコロ1901>のオフブラックのニットTシャツとBRIGLIA<ブリリア>の白パンツが、柔和なライトトープを引き締めてくれる。濃度を高めたトープカラーのジャケットを合わせてコートとインナーのつなぎ役に。
ほら、これくらい「意図的に」ファッションを志向すれば、ファンクショナルな服がぐっと現代的に見えるでしょ? 他にない先端性を見せたいなら、選んでほしいコーデとなる。
主役に据えたスポーティかつミリタリーな都会顔コート
フロントを閉じるとより際立つのが、DUNO<デュノ>のコートのシルエットの美しさだ。フードはマグネットフックにより開閉も楽。フロントの合わせ自体もスナップ&ジップの仕立て。また、左袖上腕部には、フライトジャケットを彷彿させるジップポケット、後ろ裾はジップで開閉できるモッズコートのようなフィッシュテールの仕立てに。パンツのブリーチホワイトを品よく見せる柔和なカラーも効いている。
技巧を凝らしたジャケット&ニットTシャツの合わせ
メランジ調のトープカラー(グレージュ)が、柔和なCIRCOLO1901<チルコロ1901>のジャージージャケット。コーデの中では、カラーリング上の重要な役割を担う一方、そのストレッチ性から快適な着心地も約束してくれる。引き締め役となるオフブラックのニットTシャツも同ブランドのタイテム。鹿の子の表情が、平坦に見えがちな無地ものをより奥行きを持ったVゾーンに演出してくれるのだ。
白&ベージュの優しいボトムスも効果的
白がまばゆいBRIGLIA<ブリリア>のコットンパンツ。エクストラスリムのシルエットで、都会的な雰囲気を一層強調。ピーチスキンの細かな起毛がマットな表情をプラス。ANDREA VENTURA<アンドレア ヴェントゥーラ>のスエードローファーとのマッチングもいい。このシューズは、コートとジャケットの色味を拾ったベージュカラー。同様にメリハリのついたブラック&ホワイトのセンターラインを見事に中和し、大人のエレガンスを足元で締めくくってくれている。