Naoko's Styling Room大草直子が 今、会いたい人

vol.1 大西真理子さん

スタイリングディレクターの大草直子さんが今会いたいゲストとともにスタイリングについて語り合う連載がスタート! ジェンテ ディ マーレのアイテムを自分らしく着用し、その魅力をプロの目線から解説します。初回のゲストとして登場してくれたのは、スタイリストの大西真理子さん。二人が着こなす「CIRCOLO 1901(チルコロ 1901)」のジャケットに注目を。

Today's Guest...大西真理子
スタイリスト。シンプルでそぎ落とされた中に大人のエレガンスが漂うスタイリングを確立し、雑誌を中心としたさまざまなメディアで活躍する。

Host...大草直子
ファッション誌編集者から活動の幅を拡げ、スタイリングディレクターへ。イベント出演やブランドとのコラボレーションを多数手がける。WEBメディア「AMARC(amarclife.com)」を主宰。『AMARC magazine』の編集長兼発行人。

佇まいそのものが
かっこいい、

真のエレガントスタイルの
ルーツとは

大草さん(以下大草):みなさん、こんにちは! 私、大草直子がホストとなりゲストとスタイリングについて語り合うウェブ連載、通称「直子の部屋」がスタートしました。こんなご時世だからこそ「今、会いたい!」と強く感じる魅力的な方々をお迎えしていきますので、ぜひお付き合いくださいね。

記念すべき初回のゲストにお呼びしたのは、スタイリストの大西真理子さん。大西さんは、スタイリストの大先輩。お見かけするたびに「素敵だな、お話ししてみたいな」と長年憧れていたんです。大西さんのつくるルックは、とても繊細な色の積み重ねが印象的。まさに「マリコスタイル」と銘打ちたくなるような、大人のかっこよさと優雅さが共存するものばかりです。そのスタイルは、どのようにしてつくりあげられたのでしょうか?

大西さん(以下大西):うれしいお言葉をありがとうございます。私は雑誌を中心にお仕事させていただいているので、やはり始まりは“誌面で服をどう見せるか”というところだったと思います。秋冬シーズンのアイテムはファーやカシミアなど、異素材のものを重ねるとスタイリングに奥行きが出るのですが、春夏のものだとそうもいかない。そこで、素材のちょっとした微差を計算して重ね、ラグジュアリーに見せる方法を考えました。うまく重ねると膨張色でもペタッとせず、リッチに見えるんです。

大草:それが話題を呼び大当たりして、雑誌そのものの人気を支えてきたんですよね。すごい! 昨今主流となっているデジタルメディアだと、見る人のデバイス環境などによって色や素材感が違って見えてしまうことも。しっかり考え抜いて編集され、どんな人にも同じ形で届けられる紙の雑誌ならではの、丁寧で親切な見せ方ですよね。たくさんのアイテムを吟味したうえで組むコーディネートだから、個人で独自にやってみようとしても難しいですし。

大西:確かに個人では、できそうでできないかもしれませんね。単に淡い色といっても、白やハニーベージュ、黄味寄りのトーンと、すごい種類がありますから。ニュアンスカラーのトーンは、シーズンによっても変わってくるんです。同じカーキでも、以前はグレージュがかった乾いた色彩のアイテムが多かったのですが、今は練乳っぽいウォーミィな色合いが主流に。そのちょっとした差が、スタイリング全体の表情を変えるんです。

大草:その色の表現を聞いているだけでもワクワクして、すぐにでもファッション撮影をご一緒したくなってしまいます! 大西さんのスタイリングの根幹にあるテーマやご自分なりのルールがあれば、お聞かせいただけますか?

大西:そうですね、うまく“切れ味”を持たせること、でしょうか。メンズライクなアイテムを着ていてもちょっとセクシーな要素があるとか、全体の雰囲気はエレガンスだけどグラマラスなポイントがある、とか。そのままではおもしろみがないので、そんな意外性をどこかに入れこむようにしています。白やニュアンスカラーを着るときは特に気をつけますね。

大草:なるほど、素敵! 今日のスタイリングの“切れ味”についても教えていただけますか。

大西:「CIRCOLO 1901(チルコロ 1901)」のスタイリッシュなジャケットに、あえてスニーカーを合わせたことですかね。フラットシューズだとスタイリングがまとまりすぎてしまうので、外しのアイテムとしてスポーティな要素のあるスニーカーを選びました。

大草:今やアスレジャースタイルは大きなブームとなっていますが、大西さんはそれ以前からスポーティな要素を取り入れた着こなしを実践していらっしゃいましたよね。

大西:実は、全身キメキメのスタイルがもともとちょっと苦手だと感じていて……。スニーカーなどのアイテムは、ずっと愛用していたんです。だから、かっこいいけどセクシーなイタリアファッションが日本に入ってきたときには新鮮で、心躍りましたね。

イタリアって、男性がとてもおしゃれ。ビジネスマンなのに鮮やかなカラーシャツを取り入れているとか。女性も同じような格好なのに、どこか素敵だという人が多くて。そんな“どうしてだかわからないけれど佇まいがおしゃれ”というバランスがいいな、と思っています。

大西さんが着用したのは......

楽に着られて、
きちんと決まるのが魅力

「とても着心地がよく、テーラーリングから想像するよりも楽に着られて形もきれい。カーディガン感覚で着られるジャケットだなと思いました。イタリアブランドのジャケットって、かつてはコンパクトなシルエットのものが多い印象だったのですが、最近は多様化してきていますよね。足もとのスニーカーや、ゴールドとシルバーをミックスしたアクセサリーで遊び心を加えました」(大西さん)

大草:たしかに大西さんのスタイルには、少しミラノっぽい印象も。どこかイタリアの男性っぽさがあるというか。

大西:そうかもしれませんね。あと、こういうジャケットにはカラーパンツを合わせても素敵だと思うんですが、そんな合わせ方もイタリアンな感じがしますよね。このジャケットなら、ピンクやオレンジ、グリーン、なんでも合うと思います。

大草:たしかにとっても素敵! 私のネイビーのジャケットも、今日はデニムを選んだけれど、カラーパンツにも合わせてみたくなってきました。

大西:そのジャケットも、いろいろ使えそう。大草さんのお召しになっているネイビージャケットにTシャツ、デニムという合わせ方は、おばあちゃんになっても着ていたいコーディネート。デニムって、昔の日本人はなかなかおしゃれにはく文化がなかったですよね。でも、個人的にはとても好きで。デニムにTシャツとカーディガンを合わせてすごく素敵に決まっている年配の方を見かけると、どうしても目で追ってしまいます。

大草:デニムは私も昔から大好きなアイテムなので、うれしいです! ストリートでスタイルウォッチされることもあるんですか?

大西:はい。「今の人すごくおしゃれだけど、なんで?」って、二度見したくなる人を街でよく探していますよ。「あのコートを着ているから素敵」というように、何か一つのアイテムがおしゃれ、というよりも、“どこの服かわからないけれどおしゃれ”というスタイルに惹かれるんですよね。カフェやスーパーでそういう人を見かけたときに、「今の人はなぜおしゃれなんだろう」って分析するのが好きです。

大草:それが大西さんのスタイリングのヒントになっているのでしょうか。

大西:そうだと思います。そういう人はバランスの取り方がとても上手で、たいてい昔からそのスタイルを貫いていらっしゃるんですよね。でも上手にアップデートできていて、全体が上品にまとまっている。自分でも、そんなスタイリングをつくれるようにと心がけています。

大草:私も街でおしゃれな人を探してみよう! 貴重なお話をありがとうございました。

大草さんが着用したのは......

ほどよい肉厚感と
ストレッチが心地よい

「ネイビージャケットは、自分にとっての制服といえるほど好きなアイテム。素材感やシルエット、丈がモノを言うアイテムですが、こちらはウールっぽいけど伸縮性があって、ちょうどよい肉厚感がすごく着やすい。シワにならないから、スーツケースに入れて旅行にも持っていけそう」
(大草さん)

2022年9月8日(木)に「グランフロント大阪」にてレディースアイテムに特化したショップがオープンしました。続く9月28日(水)には、東京の丸の内にメンズアイテムに特化した店舗がオープンします。

9/8 NEW OPEN!

Gente di Mare グランフロント大阪店

大阪府大阪市北区大深町4-20
グランフロント大阪 南館1階
TEL:06-6372-6300

9/28 NEW OPEN!

Gente di Mare 丸の内店

※メンズアイテムがメインのショップとなります。

東京都中央区丸の内3丁目1-1
TEL:03-6274-6745

Gente di Mare 銀座店

東京都中央区銀座6-10-1
ギンザシックス4階
TEL:03-6264-6850

Photos: Atsushi Kimura
Direction & Text: Misaki Yamashita